次の文章を読んで、問いに答えなさい。

こんんちわ、喜屋カンナです。
国語の問題を解いてみました。一度本文を読んで、問題をみて、これが公立高校入試問題だと知って、あせってもう一度文を読み返しました。ここで気づいたことがありました。答を探さなければと思うと同時に、問題文の情景が見えてくるのです。

3回目に読み返した時は、なんだか読み進むことに嬉しさすら感じられました。それは、川端康成の文章だったからでしょうか?それとも国語の問題になつかしさを感じたのでしょうか?

よかったら、あなたも試してみませんか。

齊藤孝「頭がいいとは、文脈力である」から

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次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

 幾子(いくこ)は添田(そえだ)の妻であり、優子(ゆうこ)はその娘である。今、優子は外出中であるが、今日、優子が一人で留守番をしていた時の出来事を幾子が帰宅した夫に話している。優子は間もなく結婚することになっている。

 もう赤ん坊はビスケットを食べられるかと尋ねてから、優子は奥へ立って行って、すぐに戻ると、[1]女は帰り支度に赤ん坊を背負っていた。小さい紙包みのビスケットを、おしいただくように、
「お嬢さん、ありがとう。よそさまの家から家へ歩いて、優しい顔はめったに見られないですよ。」と[2]少し赤みの出た顔を隠した。
「お嬢さん、また来ます。いいものがあったら、きっと持って来ます。」

 優子は女を見送ると、買ったばかりの毛糸を膝(ひざ)においてさわてみながら、赤ん坊の肌さわりを思い出していた。それから、生け垣の山茶花(さざんか)に目をやった。毎日見なれていて、咲き盛りなのを知らなかったようだ。不思議なほどたくさんの花がついている。それにしても、あの女はどんな気で山茶花に近づいて行ってみたのだろうと、優子はまた思ってみた。女の身なりにかかわらず、優子の膝に残ったピンクの毛糸は無論真新しい。
 
 財布をどうしたかと、優子が気が付いたのは、しばらくしてからだった。廊下のどこにもなかった。ビスケットを取りに入ったとき、茶の間の整理ダンスに戻したかと捜してみたが、どの引き出しにもなかった。庭にも落ちていなかった。

 ーーーそんな話を、幾子は添田にして、
「[3]優子は盗まれたと思わないんですよ。」と言った。「赤ん坊が廊下をはっていくうちに、つかんだんだろうと言うんです。子供が財布を握っているのを、母親は気が付かないで、そのままおぶって行ったのでしょうって。
そうだとすると、財布は子供の手から離れて、そこらの道端に落ちたにちがいない。赤ん坊は長い間は持っていないでしょう。優子は坂の下のほうも坂の上の方も、ずっと捜しに行ったそうですよ。」

 しかし、[ A ]なかったことは、幾子の話ぶりで添田にも分かった。
「[ B ]が道端に落としたのなら、きっとだれかが拾ったんだろうと、優子は言うんです。」
「[ C ]を疑わないの?」
「無論疑ったでしょうけれど、疑いたくなかったんでしょう。悪いことをしそうな人とは、どうしても考えられないと言うんです。もし、荷物をしまうときに、気が付かないで、財布もふろしきに包み込んでしまったのなら、女が返しに来るにちがいない。今にもその人が駆けて戻りそうな気もして、優子はわたしが帰るまで、落ち着けないでいたようです。[ D ]ないところをみると、赤ん坊が握っていて落としたと、優子は思うらしいんですから。」

 優子を叱(しか)るなと、添田は前置きされていたので、この出来事にたいして、あわてた意見は言わなかった。優子が言うとおりに、盗難ではなくて、赤ん坊の無心なしわざでないとは限らない。赤ん坊が握って落としたとは、[4]うまく考えたものだと、添田も和らぎを与えられた。

(川端康成「並木」による)

1 傍線部[1]の「女」について次の(i),(ii)に答えなさい。
(i) 何をしに来たのか。十字以内で書きなさい。
(ii) どんな着物を身に付けていたと思われるか。次のア~エの中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア 借り物のような着物 イ 着古したような着物 ウ 買い立てのような着物 エ 目のさめるような着物

2 傍線部[2]に「少し赤み~隠した。」とあるが、そこに優子は女のどのような気持ちを感じたのだろうか。次のア~エの中から最も適当なものを選び、記号で答えなさい。
ア 優子の無知さをさとすとともに、自分の行為を反省する気持ち。
イ 世間の冷たさを思いだし、優子の親切を無視しようとする気持ち。
ウ 優子の心遣いを喜ぶとともに、自分のみじめさを恥じる気持ち。
エ 以外な成果に満足しながらも、優子に対して不満を装う気持ち。

3 傍線部[3]に「優子は~ですよ。」とあるが、優子は
A 子供が握って行った。 B 女が気付かずに持って行った。
のどちらかではないかと思っているようである。優子がいいかげんな気持ちではなく、心からそう思っているということが、最もわかる一文をそれぞれ傍線部[3]以後の文章中から抜き出し、始めの5文字ずつを答えなさい。

4 文章中の(A)~(D)を次の指示に従って埋めなさい。
(i) (A)・(D)には、5文字以内の適当な語句を入れなさい。(ただし、空欄の下の「なかっ」・「ない」はいずれも打ち消しの意味を持つ助動詞である。)
(ii) (B)・(C)には、文章中に用いられている人物を表す語句の中から適当なものを選んで入れなさい。

5 (難問)傍線部[4]に「うまく~与えられた。」とあるが、添田は優子の考えのどんな点をうまいと思ったのだろうか。25字以上35字以内でまとめて答えなさい。

画像の説明

問題の正解例
1 (i)毛糸を売りに来た (ii)イ 2 ウ 3 A優子は坂の B今にもその 4 Aみつから Dもどってこ B赤ん坊 C女 5 無邪気な赤ん坊がしたことだと善意に解釈し、人を疑うことを避けた点。