犬は人の気持ちがわかるような振舞いをする時があります。本当に人の思いを理解しているのでしょうか?今週の日曜日のうんちくは、犬の理解についてです。

視点の理解

長年、人のパートナーとして飼われてきた犬は、人との関わりにおいてさまざまな能力がそなわっています。その中の一つに視点の理解があります。
犬は人の立場にたって人の視点を理解できるのかを実験で検証してみます。

画像の説明

実験材料

  • 不透明な衝立
  • 透明な衝立
  • 2種類のおもちゃ

実験その1

  • 犬と飼い主を、透明な衝立と不透明な衝立で仕切る。
  • 透明な衝立と、不透明な衝立の犬側におそれぞれ異なったおもちゃを置く。
  • 飼い主からは、透明の衝立の裏側に置かれたおもちゃは見えない。一方、犬からは、両方のおもちゃが見える。
  • 飼い主が、犬に「おもちゃをとってきて」と指示する。
  • さて、犬はどうするでしょうか。
    犬は透明な衝立に置かれたおもちゃを飼い主にもってきました。
    では、次の実験です。

画像の説明

実験その2

  • 実験その1と同じ要領ですが、飼い主は、犬に対して後ろ向きで、「おもちゃをとってきて」と犬に指示します。
  • さて、犬はどちらのおもちゃをもってくるでしょうか
    犬は、透明の衝立のおもちゃをもってきたり、不透明な衝立に置かれたおもちゃを持ってきたりしますが、衝立が透明か不透明かによる差はみられませんでした。
    つまり、犬は、飼い主が見えているものを理解しているということになります。
    犬は、人間のしぐさやささやかな反応の敏感に反応をしめしますが、人の見えているものに対しても理解ができるということです。

選択的模倣

犬は、見たものを全て模倣するのでしょうか?それとも選択して模倣のでしょうか?
実は、犬は模倣することを選択しているのです。
それでは、そのことを示している実験を紹介します。

画像の説明

実験材料

木の枝からぶら下げられた、ブランコのようなものを用意します。そのブランコは、上部にある餌箱にバネがつなげられていて、ブランンコを引っ張ると、餌箱の底が開いて餌が落ちてくるという仕掛けになっています。
モデル犬に、口にボールをくわえながらブランコを前足で引っ張って、餌を得ることを教え込ませます。さらに、口に何もくわえず、ブランコを前足で引っ張る練習をして教え込ませます。その上で18頭の犬のグループを3グループ用意します。

実験その1

犬の第一グループ(18頭)にこの装置を使わせました。
すると、ほとんどの犬が口でブランコをくわえて引っ張りました。

実験その2

犬の第二グループ(18頭)に、モデル犬がボールをくわえて、前足でブランコを引っ張る様子を10回見せます。そのあと、この装置を使わせました。
すると、実験その1と同様、ほとんどの犬が、口でブランコをくわえて引っ張りました。

実験その3

犬の第三グループ(18頭)に、モデル犬が、何もくわえずに前足でブランコを引っ張る様子を10回見せます。そのあと、この装置を使わせました。
すると18頭中15頭が前足でブランコを引いたのです。

実験その1では、犬は自然に口でブランコを引き、実験その2では、モデル犬の模倣をせずに口でブランコを引きました。しかし、実験その3では、モデル犬の模倣をして前足でブランンコを引いたのです。
犬は、模倣するかしないかを選択していることになります。つまり、実験その3で、前足でブランコを引っ張らなければいけないということを学習し、モデル犬の行動を模倣したのです。

さて、チンパンジーは、装置の操作に明らかに不必要な動作がある場合、それを模倣することはありません。チンパンジーは、目的にあった効果的な動作をするのです。利口ですね!

ところが、人の幼児はすべての動作を模倣します?・・・あれ?!?

よろこ

参考文献:比較行動学 藤田和生