記憶の妨げ?

目、耳、鼻などの五感からの刺激が海馬に伝達され、その刺激によってシナプスの電位が急激に上昇し、その電位が以前よりも高い水準で維持される現象がLTP(Long Term Potentiation:長期増強)です。
この電位の差によって記憶が保持されています。

これが記憶のメカニズムです。

ところで、

動物にストレスを与えるとホルモンのバランスが崩れ、LTPの形成がされにくくなります。
また、動物にアルコールを飲ませるとLTPが弱まります。

これは、

酒の飲みすぎで、脳内にアルコールが周り、アルコール健忘症を引き起こす現象と同じです。
ストレス、酒の飲みすぎは、記憶の妨げになるのです。


篇桃体



画像の説明


喜怒哀楽の感情のことを情動といい、記憶は情動が伴うとよく覚えています。

たとえば、

昔のことを思い出してみてください。
「あのときは、楽しかったなあ、だって○○だったよね」

とか

「5年前の○○の時、本当にひどい目にあったよ。そのとき君は、○○だったじゃないか」

などど、

思い出は、悲しかったこと、苦しかったこと、楽しかったことなど、喜怒哀楽と共に覚えています。
このような喜怒哀楽の情動は、海馬の先端にある篇桃体から生まれます。
篇桃体は直径1cm程度の大きさの神経細胞の塊です。

さて

この篇桃体の神経細胞が活発になると情動が生じることは人や動物で確認されています。
篇桃体を刺激された動物はさまざまな感情的な行動をおこし、篇桃体が破壊されると動物は感情が薄れぎみになって無気力になるのです。

さらに注目すべきことは、

篇桃体が活動すると海馬のLTPが大きくなります。
つまり、情動が大きいと海馬の電位差が大きく、記憶が強いということです。

喜怒哀楽が大きかった出来事は、いつまでたっても覚えているのです。


動物の篇桃体

動物に思い出はありません。

しかし、

動物の篇桃体は、動物にとってとても重要な役割をはたしています。

動物は自分の敵が襲ってきた時、その恐怖の体験をきちんと記憶しておかなければ、生死にかかわります。
つぎに同じような危険と遭遇したとき効率よく回避しなければ、動物は生き残っていけません。
恐怖の情動が篇桃体で生まれ、海馬を刺激して、それを記憶するということは、動物にとって必要不可欠な記憶力なのです。

人が進化する前の下等な動物から脳に備わっている特別な記憶力です。


よろこ

参考文献:記憶力を強くする 池谷裕二