発明のシステム(聡明さの横糸と縦糸)

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何事でも広く聞いて諸々の事情にも詳しく、記憶の強いということは、賢明の横幅である。
深く道理を探求して、神妙な奥義に入るというのは賢明の奥行きである。


人間の記憶力というのは、実はなかなか馬鹿にできないものです。
エジソンというのはとても記憶力のよい人で、百科事典をまるごと暗記したと言われています。
それが役立ったという実感があったのでしょう。彼は自分の娘にも毎日10ページずつ百科辞典を覚えさせました。

百科事典を暗記するなんて驚くかもしれませんが、実はこれは、エジソンのオリジナルではないのです。

十九世紀最大の科学者とも言われるマイケル・ファラデーは、貧しい家庭に生まれたため、学校は小学校しか行けませんでした。そんな彼が知識を得るためにやったのが、百科事典の暗記でした。エジソンは、ファラデーの真似をしたのです。

そんなエジソンはものすごい読書家で、ジャンルを問わずさまざまな本を読んでいます。
そのためエジソンの会社の入社試験では、いろいろな分野のことが聞かれました。でもエジソンが知識の量にこだわったのは、知識そのものを重視したからではなく、結果としての知識の量を生み出す「知識欲」と「記憶力」を重視したからでした。

彼は、記憶力がよいことが、次の診断を確かなものにすると考えていたのです。

どうゆうことかというと、たとえば倉庫に行ってものを探すような作業でも、旺盛な知識欲で倉庫を隅々まで熟知していれば、欲しいものをさっと探してこられるし、記憶力が良ければ、その経験が次のときにさらに活かされる、ということです。

でも記憶しているだけではやはり足りません。

そこからさらに深く入っていき、本質を掴むという作業が必要です。これが聡明の奥行きです。

両者の違いは、受験勉強で考えると良く分かります。

たとえば私立文系受験の世界史では、本当に驚くほど細かな語句を問う問題が出されます。これは「横幅」、つまり知識を問う問題です。
でも、それをつなぎ合わせて、たとえば十二世紀のヨーロッパを語るということになると、知識から道理を導き出すというまったく別の能力が必要になります。これが「奥行き」です。

私は、横幅と奥行き、この両方を用いて語ることが、本当の歴史の力だと思っています。

単なる暗記には、こうした思考を展開する時に感じる、本質にぐぐっと迫っていくような頭の働きがありません。丸暗記の歴史が面白くないのは、これがないからなのです。

ですから歴史に限らず、物事を覚えるという作業をするときには、知識を集めることに加え、何かもう一つ、縦にぐっと入り込んで本質を掴んでいくような感覚が得られることを同時にすると、頭の働きとしてはちょうどよい刺激になるのです。




よろこ