建物の一部が庭越しに見える
エコ:
人は常に部屋全体を知覚しながら住んでいたいと思っています。
とりわけ、ビルの中にいると、ビル全体のどこにいるのかを把握することは、
非常時の安全において必要なだけでなく、
自分の位置がわかることで安心できます。
窓がない部屋にいると、自分がビルのどこにいるのか知覚できないため、不安になってしまいます。
自分の位置を全体のどこにいるのかを知覚することは、
生きていく人間として生理的に安心感を得ることにつながると言われています。
全力で走っている時は、自分の手足は見えませんが、
椅子にすわっていると、自分の手や足が視野に入り、じっと手を見つめることによって
落ち着くのものです。
これも、自分自身を知覚することとつながり、安心感を得ることができます。
さて
建築において 窓から外の風景の一部に自分の居住している建物の一部が見えると
自分の立ち位置が容易に知覚できて落ち着くものです。
フー:
建物の一部が見えても、その部屋から覗かれているってことじゃないの?
それじゃ、いやだね。
エコ:
適当な樹木を配置することによって
気配が感じれるくらいの距離感が適しています。
この考え方は、海外建築の構成にはなく、日本建築独特の考え方です。
日本建築は、庭を介して、建物を増築してきました。
部屋の様子がかすかにうかがえる微妙な配置を繰り返しながら増築を繰り返す。
代表的な建築に桂離宮があります。
窓から、庭の樹木を通して、建物の一部が見える。
なにやら気配が感じられる。
この微妙な関係を保てるように、
一部屋ごとに庭との関わり方を大切して部屋を配置していきます。
フー:
なんで、そんなめんどくさいことするのよ!
エコ:
建物の一部が窓越しに見える。
自分の家の誰かの気配を感じれる。
実は、このことが人を安心させるのです。
フー:
そんな大きな敷地なんていまどき高すぎて手に入らないでしょうが!!
エコ:
60~70坪程度の敷地に住宅を計画されている方!
考えてみてください。
検討の価値があります。
よろこぶや