主観的輪郭

実際には、線分として存在しないのですが、まぼろしが見える輪郭を、主観的輪郭といいます。
ちょうどパックマンが4つ集まって、中央を向いた時、中央に四角形が浮かび上がりますよね。この輪郭のことです。

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では、このような主観的輪郭の現象が現れるのは、人に限られるのでしょうか。
そこで、ネコに上下に移動する四角形が現れた時に反応するように訓練しました。
その後、パックマンを回転させて上下に運動するように見える刺激を見せたところ、ネコは反応したのです。
ネコは、主観的輪郭を知覚し、まぼろしの四角形が見えるのです。

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パックマンの口をふさいだ場合、(上手一番右側)主観的輪郭を視覚できるかの実験では、その成績が著しく低下しました。
これらのことは、とちらも主観的輪郭を知覚しているということを示しています。

主観的輪郭は、ネコ、アカゲザル、リスザル、鳥類、さらにミツバチでも見られます。

アモーダル補間

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アモーダル補間というのは、部分的に隠された部分があっても、それを補って知覚する現象です。たとえば斜めに置かれた黒の棒の上を白い帯が上下に動いていた場合、この棒を一本のつながった棒と認識します。4か月の乳児にすでに見られる現象です。
乳児が6カ月になると、白い帯が上下に動かなくても、つながっていると知覚します。
では、動物はどうでしょうか。
フサオマキザルに、中央部がまっすぐな斜めの黒の棒と中央部が分断された黒の棒、さらに中央部が曲がった黒の棒とその中央部が分断された黒の棒の計4つの棒を用意して見本合わせをします。
斜めな黒の棒の上に白の帯で中央部を隠した場合、上記の4つのタイプのどれと同じと考えるかの見本合わせの実験をします。

フサオマキザルは、白の帯が上下に動いている時も、止まっている時も、人と同じように、一本の黒の棒があると認識します。中央部が折れ曲がった少し異なる棒でも同じ結果でした。

ところが、同様の実験をハトで行いましたが、ハトは2本の黒の棒があると知覚します。

さて、ハトは本当にアモーダル補間をしないのでしょうか。

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上図は、赤の正方形に青の正方形が斜めにくっついた図形がちりばめてあります。
左側の図は、一部切り欠きのある赤の図形が混じっています。
一方、右側の図には、一部切り欠きのある赤の図形があるのですが、ぴったり切り欠き部分に青の正方形がくっついています。

左側の図の中から、赤の切り欠きのある図形を見つけ出すのは容易ですが、右側の図の中から赤の切り欠きのある図形を見つけ出すのは、時間がかかります。
赤の切り欠き部分に青の図形がぴったりくっついていると、アモーダル補間が働いて他の図形と変わらないように見えるのです。

ところが、ハトは、赤の切り欠きの図形を見つけ出すのに、左側の図でも右側の図でも見つけ出すまでの時間にかわりはないのです。これは、人のようにアモーダル補間をする働きがないから起きる現象で、これはニワトリでも見られます。

なぜか

動物は、自身の生活様式に合わせて知覚系が発達していると考えられます。ハトやニワトリは、地面の上の餌をつついて食べます。そのさい形をしっかり知覚しないと、食べられる餌を見逃すことになり、生きていくために必要な生活様式に適した知覚系となっているにちがいありません。

よろこ

参考文献:比較行動学