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心理学は、いろいろなところに応用されています。
なかでも昔から建築計画に応用されていました。
今日は、その典型的な例を紹介します。
それでは、日曜日のうんちくをどうぞ。
日曜日のうんちく
パノプティコン
パノプティコンとは、19世紀後半にイギリスの思想家J.ベンサムによって生み出された集中型の監獄(刑務所)の形式を言います。
日本語では、一望監視施設(装置)と訳され、字のごとく、監視する部屋を一望できるような計画となっています。
中央に監視塔(中央看守所)があり、その監視塔を取り囲むように、円環状に居室(監房)があり、囚人を監視できるようになっています。
さらに、光量や角度によって、囚人は看守のことを見ることができないようになっていて、これによって、囚人は、常に監視されているという感情を抱くようになるのです。
今であれば、監視カメラを取り付ければよいということになりますが、目立たないように取り付けられた監視カメラと違って、建物の構造自体で「監視しているぞ」と囚人の内面に働きかけるところが、すごいところです。
パノプティコンの考え方は、日本の監獄にも取り入れられ、金沢監獄、網走監獄にも取り入れられました。
重要なことは、実際に監視することではなくて、囚人に監視されていると思わせることなのです。
ところで
一点から四方を監視するというやり方は、病院の計画にもあります。
たとえば、病院のナースステーションの位置は、できるだけ多くの病室が見渡せるように計画したりします。
これも、患者を監視することを念頭に置いた平面計画といえるでしょう。
平面計画自体が監視しやすい計画になっているということは、動線(人の動き方)が整理されているので、使いやすい平面計画と言えます。
病室で問題が起きた場合でも、短時間で駆けつけることができて効率的といえるでしょう。
病院の場合は、ナースステーションから病室が見渡せると、患者は、病室の扉を開ければ、看護師の顔が見えるなど、看護師と近いという安心感が持てます。
さらに、ナースステーションと病室のフロアーが違う場合などは、看護師は病室でのちょっとした異変に気がつきません。
監視カメラや、ナースコールがあれば、いいのではないかという考えもありますが、見通せるということは、直線的にアクセスできるという建築的に優れた平面計画と言えるのです。
監視カメラで四六時中見られている病室を想像してみてください。結構いやなものです。
病室は監獄ではないのですから。
さて
このように、建築計画と人の心理とは、密接なつながりがあります。
なかなかおもしろいテーマだと思いませんか?
よろこぶや