チラチラする光

チラチラとする光は、こころをイラつかせるだけではなく、ケイレン発作を誘発することがあります。たとえば、晴天時に自動車で鉄橋を渡るとき、太陽の光がチラチラしたり、テレビゲームで強い光がチラチラしたりするときです。
17世紀のフランスで、木漏れ日の林のなかを通る馬車の中で、子供が意識を消失してケイレン発作を起こしたことが、近代医学の光過敏性テンカンの最初の認識です。

人間の脳は、脳波を出していて、この脳波を測定することによって意識状態を調べることができます。代表的な脳波は、アルファ波、ベータ波、シータ波、デルタ波です。

テンカンの患者さんの脳波には、鋭くて振幅の大きいスパイク{棘波(きょくは)}やそれにつづくゆっくりとした徐波(じょは)が現れ、つづいて棘波と徐波が混合された、スパイク&ウエーブ{棘徐波複合(きょくじょはふくごう)}が現れます。

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脳波の診断は、一秒間に何度も強い光をチカチカとあてた光刺激をあたえたあとの脳波を測定したり、連続した深呼吸をしたあとの脳波の測定をします。
すると、それらの刺激によって、スパイク&ウエーブの脳波が出る場合があり、脳波の不安定さが診断できます。

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テンカン発作

テンカン発作が起きると、意識がなくなり、目が上を向いたままになります。さらに全身をかたくつっぱり、手足を震わせ、ひどいときは体をエビぞり状態の姿勢になります。テンカン発作が続くと、呼吸ができなくなり、脳に酸素が足りなくなり、障害を残したりします。発作の前兆として目がかすんだり、あくびがでたり、頭痛がしたりします。
その他、おなかが痛くなる自律神経発作、手足の一部のケイレンなどテンカンの部分発作もあります。

テンカンの原因

テンカンは脳の外傷や、脳血血管障害、脳腫瘍などの原因があきらかなものと原因が不明なものがあります。若い人の場合は、原因が不明な場合がおおく、中高年の人の場合は、何らかの原因があることが多いです。たとえば、脳に障害があってその部分が修復された場合などです。脳の修復された傷跡は、グリア細胞は多いのですが、神経細胞が少なくなっているので、過敏になっています。そのため、そのような部分は電解質の異状があると、発火しやすいのです。また、カリウムが多すぎたり、カルシュームが少なすぎたりしてもテンカン発作はおこしやすいです。

抗ケイレン薬

抗ケイレン薬が研究され、今ではテンカンの発作をコントロールできます。ケイレン発作を起こさなければ普通の生活ができるので、自動車の運転をしても問題ありません。
テンカンの患者さんは、日本で約60万人、1000人に5人前後の割合で、その半数の人が運転免許をもっています。欧米では、2年ないし3年の間に発作が起きなければ、車の運転が許されますが、日本のテンカン学会では、抗ケイレン薬を3年間飲まないでも発作が起きない人はすでにテンカンが治った人で、抗ケイレン薬を服薬中で3年間発作の出なかった人は、治療を続けていれば、車の運転は問題なしとしています。

晴天の鉄橋

ところで、晴天の日に、テンカンの患者さんが車の運転をして、鉄橋を通過しても安全上問題はないのでしょうか?
今のところ、鉄橋の光のチラチラでの交通事故は報告されていません。
なぜならば、光過敏性テンカンは、子供に多くおとなには非常にまれだからです。
しかし、橋を設計するのに、光のチラチラを防ぐ方法はいくらでもあります。テンカンの患者さんだけでなく、一般の人にとっても、光のチカチカは車の運転の妨げとなりますので、橋の設計を改善する方がいいですね。

喜屋(よろこや)カンナ

参考文献:脳と神経内科 小長谷正明著