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セルフモニター

セルフモニターは、認知行動療法実践において、欠かすことのできない手法である。
うつ病の症状がない普通の人でも、気分が低下していると感じる時には、セルフモニターが効果的である。
セルフモニターは、協同実証主義がもっとも重要になる。

協同実証主義って?

セラピストとクライエントとの理想的な関係性を、協同実証主義と呼ぶ。
協同実証主義 (collaborative empiricism)とは、現実から真摯に学ぶ姿勢であり、クライエントとセラピストとの関係性は、コンサルテーションであるといえる。

困難さを抱えるクライエントは、言ってみれば、個人の具体的な状況や事情、症状に詳しい「困難や症状」の専門家であり、一方、セラピストは、それらの一般的な対処方法を知っている専門家である。

この「困難や症状」はクライエント本人の自らの問題ではあるが、それを問題ととらえるのではなく、改善目的の対象としてとらえる。
クライエントにとって、その「困難や症状」をダメかダメでないかという判断をする問題としてとらえるのではなく、どう手が打てるのかを検討する課題として対象化するのである。

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なにをセルフモニターするのか?

セルフモニターは、まず行動を数値化することから始める。
たとえば、
・禁煙を目標としているクライエントは毎日のタバコの本数を記録する。
・パチンコなどのギャンブル依存症のクライエントは、週に行った回数、使用したお金を記録する。

本数や回数、金額を記録することによって、問題や困りに対する意識を高めることができ、それを継続的に観察することにより、変化のためのヒントが得られる。

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うつ病のクライエントの場合は、何を記録するのか?

うつ病は傷害であり、気分の変動を記録する。
記録の方法は、起きている時間を3時間から4時間ごとに分割して、気分の変動を評定して記録する。評定とは、たとえば、その時の気分が、-50から+50までの軸で、どのあたりなのかを自分で評価し、記録する。

-50:うつで、過去最悪の状態。
-40:
-30:
-20:
-10:
  0:うつでない、本来の自分、普通の状態。
+10:
+20:
+30:
+40:
+50:最高の気分で、意欲がある状態。

抑うつの問題を抱えているクライエントの場合は、成果が得られるまで、-40から-10くらいの評定が多くなるが、まれに0を上回る状態の時がある。その0を上回る、うつ病ではあるが、うつでない状態のときの情報から、回復の手掛かりを得ることが可能となる。

普通の人でも-20から-10の日があり、0に近い値になったということは、普通のレベルになってきたということである。

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気分の変動に加え、関連する出来事を?

ふるまいや言語反応、注意の偏りや受け止め方を気分低下の悪循環の要素と捉え、気分の変動だけでなく、活動や出来事を一緒に記録する。気分の状態に対応した活動や出来事を分析することによって、改善の手掛かりを得ることができる。

いつ、どこに記録する?

普段の生活の中で、いつ記載するか?:就寝前?歯磨き前?
どこに記載するか?:ノート?カレンダー?パソコン?
どこに保管する?などを取り決める。

ただただモニタリング?

うつ病のクライエントは、自分の生活のなかで非活動的な時間が多くなっているそのものを、普段から悲観的に受け止めている。
そのため、セルフモニター自体に嫌悪的に感じことが多いが、些細な行動とその記録の実行を継続することが、効果をもたらすのである。

うつ病とは、客観的で公平な視点でみることができなくなるという、改善のしにくさが誰も生まれつきもっている気分の回復の力を阻害していることによる障害である。

ただただモニタリングを継続してみるのがよい。

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快を得る過ごし方

気分が低下した時は、下記の快を得る過ごし方に目を通してみる。

① 本を読む・本屋で本を探す
② DVDを借りにいく
③ 部屋の掃除をする・庭の手入れ・ベランダの掃除
④ 美容院にでかける
⑤ 生活用品や雑貨を買いに100円ショップに出かける
⑥ 旅行の計画を立てる(旅行雑誌、地図、時刻表を見る)
⑦ 音楽を聞く・楽器を演奏する
⑧ 料理を作る・食べる・食べてもらう
⑨ 散歩やジョギングをする
⑩ インターネットを開く・動画を見る
⑪ 日記をつける・ブログを書く・友人にメールを書く
⑫ マッサージを受ける・銭湯に行く
⑬ 幼い子供と遊ぶ・子守を手伝う
⑭ コレクションを整理する・趣味の道具の手入れをする

参考文献:認知行動療法 下山晴彦、神村栄一著